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電動シート駆動ケーブルの補修

 

電動シートはとっても便利である。 しかし指示した通りに動作しなければとても不愉快にしてくれる達人ともいえる。

運転姿勢の殆どを決めるシート調整が正常に機能しないと最悪運転そのものに支障をきたしかねない。 そしてその事態が発生してしまった、信号待ちでリアの荷物に手を伸ばしたとたんガーと背もたれが傾いてしまい戻らなくなったのである。 車を止めて力任せに引っ張りながら起こす方向にスイッチを倒して何とか戻したが、この後度々発生するようになり更に助手席は上下リフターも音はすれども動作はしない現象もたまに確認できた。

構造的に対応可能な部分からメンテすることにしたのでその手順を紹介する。 まずはシートを降ろすことから、フロントシートは後ろ側に2個のボルトでマウントされているだけである。

   

このボルト国産車ならば普通のレンチで対応できるのだが、輸入車は逆トルクス状の特殊ボルトでマウントされている。 オープンスペースならばモンキー類で可能だがクローズでは専用工具が必要となる。

特に無くても7/16インチのボックスレンチがあればジャストフィットなのでたけはホームセンターで買ったインチ・ミリ用の格安セットを使用した。

   
ボルトは普通のシート位置では隠れているので一旦前のほうにスライドさせておく。 ボルトはジャストフィットなのでトルクは掛けやすく簡単に緩めることが可能である
   

シートリフトを最上部まで上げるとこんどはシートベルトアンカーが見えるのでこれも緩めてしまう。

   

専用ボルトの画像である、まさに星型トルクスの逆版ですね。

   

後ろのボルト2本をリリースするといとも簡単にフリーとなる。 下側のコネクタ類を外す際は一人で持ち上げながら作業をするのは大変なので廃材などを馬にして浮かせておく。

コネクタ類はプラスチックの老朽化で破損しやすいので両手とドライバ等で丁寧に外すようにします、割れてしまうとシャレになりません。 そのためにも馬を入れ て固定しましょう。

次にフロント側を外すためにシートスライドは最後部にしてリフトは最上部にするようにして下さい。

   
フロントシートは前後に移動したときにベルトサポートが上下する機能をもっています、これはドア側に引き込みワイヤーがありこれを引っ張る事で作動しているのでこれを外してしまいます。

ワイヤーの根元にはロックガイドがあるのでそれを解除すれば簡単に外れます。

   

ちなみにシートの移動量が足りないと画像のようにシート前部の固定ツメから外せないですよー。

   

アンカーボルト2本でシートが固定可能なのはフロント部のこのツメのお陰です。 こういう部分はシンプルながらよく考えているなー、国産車は4本も5本もボルト止めです。

   

コネクタを抜いたのを確認して少し前に傾けて左右に揺すります(笑)一人だと結構大変だったりしますが諦めずに頑張りましょう。

フロントが外れたら今度はまたシートを最前部までスライドしてください、これを怠ると降ろしたあとのメンテ作業が大変になるので忘れないように。

   
運転席側の床下コネクタです、メモリー関係、モーター関係、ヒーター関係等。 単純なコネクタでも手探り接続をしたときに○△等のガイドがあり間違った接続ができないようになっている。

コネクタ類には本当に関心する、よく考えているフムフム。。。

   

シートの無くなったフロア、まさにフラットである。

   

やっとの思いで部屋まで運んだE32の シート、しゃれにならない程重い(ーー; 変な体制だと腰を悪くしそうである、普段力仕事になれていないたけにはとっても苦痛である。

作業をしたのが真冬であったので冷え切った身体を缶コーヒーでも飲んで暖めたのちメンテ開始である。

アクセスすべきはケーブルコネクタ部、シートの前方向にあたる部分である。

   

駆動モーターは画像の下側が上下のリフター用で上側がリクライニング用である。 シートスライドを最前部にしてあると画像のように簡単にアクセスするスペースが確保されている。

   
右側リクライニング用ケーブルの画像で ある、接続部が完全に脱落している。 樹脂被服にカシメガイドをつけてあるだけの構造なので長年の引張り応力からカシメが抜けてしまったようである、電動シートの多くのトラブルはこのケーブルが原因なのでこの場合は比較的補修は簡単である。
   

モーターの取り外しに邪魔なコネクタステーを外します。 普通にネジで止まっているだけです。

   

駆動モーターを外したところである、これ自体には目に見えて問題は無いようである。

   

さて破損したケーブル被服ですがこれは伸びるはずは無いのですが...

カシメを外したあとワイヤーを手で押し込みワイヤーが15mm程度見えるように被服をカットします。

   
カットしたものを外したモータに押し込んでみて被服の隙間が画像程度になるようにカット調整をします。
   

横にカシメを並べてみました、カシメのガイドが被服全体に納まる長さが分かると思います。

   

ガイドを被服にセットしますが返りツメが出ていると結構入りにくいのでドライバ等で綺麗に起こしておいてください。 それでも入りにくいときは上から打ち込んで下さい。

セットが済んだら返りを再度作りますが噛みあいがよくなるようにネジを使って深く作りました。

   

上が補修後の長さ、下は未補修のリフターケーブルです1cm程度の差があります。 リフターが不動となるのはこれだけ短いので空回りしてしまうからです。

   
同じ場所にある残りのケーブルも同様の処置を施します。 施工が済んだらモーターを戻し各ケーブルの接続を行います。

これでシートバックとシートリフトのケーブル補修は終了。

   
さて次はついでにヘッドレスト稼動部分のケーブルも補修します。

ハイラインのシートバックには豪華テーブルが装備されています、嬉しい装備ですがシートバック部分が5cm以上スペースを殺されてしまうためせっかくのロングモデルなのにリアの居住スペースが狭く感じます。 まーロングだから出来る技ですが(ーー;

ちなみにこのテーブルだけで電動シートと同じくらいの値段がします1個20万円(@@) 93年モデルはポケット付きです。

   
テーブル裏にあるトルクスネジを緩めて、同時にパネル部にジョイントされているマイクロスイッチを外します。 このマイクロスイッチで間接照明をオンオフしています。
   
リアパネルを外し色々着いているケーブルクランプ類も一緒に外していきます。

パネル裏に間接照明のランプが3個見えます、93年からの最終型ハイラインには3個、92年までのものには2個の間接照明が装備されます。

   
さらにサポートパネルとバックステーがありますのでこれらを外します。
   
これでやっとヘッドレスト用モーターにアクセスできます、画像のドライバー部分がモーターマウント部でこれを外すとシートバックと同じ構造のユニットが現れます。

あとは同じ手順でケーブル補修をして戻せばOKです(画像は面倒だったので撮っていません)

 


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